少しだけ泣けたこと ~気が付いたら対象者の彼に恋をしていた

調査
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今日もあの人は何事もなく家に帰って行った。
ホッとしている私がいる。これはもうただの安心感を超えていた。

「お願いだから何もしないでまっすぐ帰って」
それだけ祈りながら数カ月が経ってしまった。

誰にも気がつかれてはいけない。
チームの誰にも気がつかれてはいけない。
私はこの案件の対象者である彼のことを、気がついたら好きになっていた。

今回の調査目的は、対象者の退社後の素行調査。
対象者は以前働いていた人間と接触して企業情報を漏洩しているらしい。
料金との兼ね合いもあり、週末にしぼり調査を開始。

張込みをしているその先には彼がいる。
それだけで胸が締め付けられそうだった。
私は彼のことを何も知らない。
調査を行う上で必要なこと以外は何も知らない。

私は彼の笑った顔が大好きだった。
ただ、それだけだった。
それ以上でも以下でもない。
なんでこんなに好きになったのか、私もまったくわからなかった。

そしてある日突然調査は打ち切りになった。
詳しいことは調査員の私には何も知らされなかった。
ただもう逢えないということが、とてつもなく寂しかった。
また少し泣けた。
それから一度も彼には逢ってない。

ガルエージェンシー特捜班

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ガルエージェンシー特捜班

ガルエージェンシー本部直属の特別捜査班。 事件との対峙を主な任務とし、選ばれた精鋭が集う。 海を超える情報網とその捜査力は圧巻の一言。

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