なぜ最近のテレビはつまらないのか?「劣化」の原因を元キャスターが指摘

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「最近のテレビ番組は、つまらなくなった」。視聴者のこのような意見が、ネット上に飛び交うようになって久しい。近年は、マスコミ報道の「信用性」について疑義を呈する声も多くなっている。そうした状況を生んだ「原因」とは何かということについても諸説があるが、最近、興味深い問題提起がなされた。

『サンデー毎日』2018年4月22日増大号に、「テレビ局 目の前の危機」という記事が掲載された。著者は、元TBSキャスターで現在は白鴎大学客員教授の下村健一氏である。4ページにわたる記事であり、様々な論点が提起されているが、ここではその一部に限って言及する。詳細については、実際に同誌を手にとって読んでいただきたい。

 

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下村氏は大学で学生たちに、以下のようなアンケートをとったという。「もし自分が、映像制作が得意だったら、どちらの職業につきたいですか? (1)テレビ局の正社員 (2)ユーチューバー」。「給料の安定性」などを学生たちは考慮するのではないかと予想したが、僅差で「ユーチューバー」という回答が上回ったという。

 

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「ユーチューバー」を選んだ理由で最も多かったのは、「自由だから」。「裏を返せば、学生たちは『テレビ局には自由がない』と考えているわけだ。これは深刻である」と下村氏は述べる。これに続いて、「地元」に強いはずのローカル局が、県庁の広報番組の企画コンペで、他地域のインターネットコンテンツ制作会社に敗れたという事例を紹介している。

下村氏はテレビ局の「内部の劣化」もあると指摘し、報道に関しても「残念ながらクオリティーの低下は明らかだ」と断言した。「かつては、最も芸のないアホなインタビュー質問は『今のお気持ちは?』だと言われたが、最近やたらニュース番組から聞こえてくるのは『一言お願いします』。これは、質問なのか? 一体何を尋ねているんだ?」。

 

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「取材対象者の出現を長時間の張り込みで待っている間、どう尋ねようか考えに考えた末の質問が、これなのか?」。また、「『そんなの言われなくても画面を見りゃ分かるよ』とツッコミを入れたくなるような、浅い現場実況リポート(『青いシートが屋根にかかっています』の類)」もあると指摘している。

 

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その他、「《コンプライアンス》意識が効きすぎて、チャレンジを避けた無難な表現が良しとされるようになったこと。《外注化》の普及で、自社の先輩が後輩に教えるというスキル継承の機会が希薄になってしまったこと」なども挙げている。「働き方改革」に伴う労働時間の短縮で、若手社員が仕事を覚える時間が奪われているといった実態もあるという。

 

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さらには、「特に報道局配属希望の新入社員が減少しているのだ」という。「人材が供給されなくなったら、劣化も止まるはずもない」。この状況を改善するために各種の取り組みがなされているとのことで、事例を紹介。「『テレビはまだまだ強大だよ』という根強い楽観論が、取るべき対応をさらに遅らせてはいないか」と危機意識を表明している。

当サイトでは、この記事をテレビ局の番組制作を担当する企業のプロデューサーに読んでもらった。「うちも下請けなので」と断りつつ、同氏は次のように述べた。「下村氏の指摘には、おおむね同感です。最近は特に、表現上の問題での視聴者からのクレームを恐れて、無難な番組作りが業界全体で増えていると感じます」。

ただし、「見れば分かる」ことを現場実況のリポーターが言うのは、無駄とは限らないのではないかという。例えば、朝や夕方の忙しい時間帯に、テレビをつけて食事や家事をしている視聴者は、必ずしも画面をずっと見ているわけではない。「見れば分かる」ことをあえて言う結果、視聴者が情報を耳から受け取れるということの意義はあるのではないかという。

ちなみに、今回の記事で下村氏は、対象を報道番組に限って検討している。バラエティ番組などに関しても、「最近の番組はつまらない」といった意見が多いが、そうした番組についての分析は、また異なったものになるだろう。「テレビ局全体の問題」としては共通点もあるかもしれないが、番組の種類別の検討が必要と思われる。

 

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