香山リカの「原発維持・推進派の人は心の病気」発言、医学的根拠はあるのか?

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精神科医で立教大学教授の香山リカ氏の原発問題に関する発言を撮影した過去の動画が、定期的に話題になっている。先月にも、この動画がTwitter等で広められて、様々な意見が飛び交った。他の精神科医も同様の趣旨の発言をしているのか、また、その医学的な根拠はあるのかということを調べてほしいとの依頼が、読者から寄せられた。

動画での香山氏の発言は、以下の通りだ。「原発維持や推進をしようとする人たちは、私、精神科医から見ると、心の病気にかかっている人たちに思えます」。この発言の後、会場からは「そうだ、そうだ」といった声が飛び交い、拍手喝采となった。一方、「精神科医から見ると」と香山氏が述べていることから、その医学的な根拠を問う声が相次いでいる。

 

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ところが、そうした疑問の声に対して香山氏が明確な回答をしていないと、情報提供者は言う。原発問題に関する精神科医の発言について、当サイトでは雑誌や書籍を調べてみた。東日本大震災の発生後に刊行された雑誌『imago』(『現代思想』2011年9月臨時増刊号)には、複数の精神科医が寄稿している。

 

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だが、原発への賛否について、精神医学の観点から述べているものは見当たらない。この雑誌には香山氏も寄稿しているが、先述の動画での発言のような見解は記されていない。精神科医の神田橋條治氏は、原発推進の立場に否定的な見解を記しているが、精神医学の知見に基づいて書かれたものではない。以下が、神田橋氏の主張だ。

「安心し信用したいという『盲目への渇望』に応えて、原発安全神話も造られました。インスタント宗教です。そして神話が『国策』としての地位を得ると『国益』という錦の御旗が加わり、強大な力を発揮します。逆らう者は『国賊』『非国民』として迫害の的になります」(28ページ)。

精神科医の斎藤環氏には、『原発依存の精神構造』(新潮社)という著作がある。同書の副題は「日本人はなぜ原子力が『好き』なのか」であり、この点について様々な視点から考察している。その詳しい内容をここで扱うことはできないが、原発維持・推進の立場の人は「心の病気」であるという香山氏の見解に相当するものは見当たらない。

 

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斎藤氏は「あとがき」で、自身は脱原発の立場であると明言している。ただし、「原発を絶対悪とみなすだけではどうにもならないところまできている」(183ページ)、「過激すぎる主張やパフォーマンスは、一時の扇動や自己満足としては有効であっても、長期的には内部分裂をまねき支持者を減らすことになる」(184ページ)という。

福島の原発について、「廃炉作業には原子力発電の専門家の知識が不可欠だが、新たにそうした専門家を育成・維持するためにも、必要最小限の原発再稼働は避けて通れない」(183ページ)と主張。再稼働は「技術の維持と発展的解消を目指してのこと」(184ページ)であり、脱原発に必要な期間として100年程度は想定しておく必要があるという。

このような見解は、おそらく香山氏とは相容れないだろう。それはともかく、斎藤氏の考察は日本の社会という「集団」の特徴を論じたものであって、原発の賛否についての「個人」の心理を対象として論じているのではない。この点でも、香山氏の「心の病気」発言とは異なるのではないかと思われる。

ちなみに、「心の病気」発言を疑問視する人々に対して、香山氏が詳しい説明や返答をしないことについて、別件との関連での批判も提起されている。先月、朝日新聞に掲載された「批判との対話 希望の芽」と題する記事によると、香山氏はTwitterでは各種の批判に応じるように心がけているという。だが、香山氏は自動ブロックツールを導入している模様で、対話どころかツイートの閲覧さえできないという声が多い。

 

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